差金決済取引の禁止について
同一日の同一銘柄の有価証券の売買(いわゆる『日計り売買』)について、その決済日に買付代金または売付代金の差金のみをもって決済することは出来ません。このような取引は、差金決済取引と呼ばれ、金融商品取引法において、禁止されています。
立花証券ストックハウスでは、お客様のお取引について、完全前受制(予め当社のお客様口座に、買付時は買付代金以上のお預り金残高があること、売付時は予め売付数量以上の有価証券残高があること)を採用していますが、日計り売買のお取引については、お客様のご注文が、差金決済取引とならないよう一定の制限を行っています。
日計り売買時のご注意
差金決済取引は、最終的に一日を通して、その該当性を判断することになります。
例えば、同一日同一銘柄の株式「売り1,000株→買い1,000株→売り1,000株」というケースでは、“売りが計2回で2,000株に対して、買いは1回で1,000株”という状態にあり、売付分の2,000株を既に保有していれば、差金決済取引に該当せず、ご注文は可能です。
しかし、1,000株しか保有していないのであれば、2回目の売付は、売付株券の二重使用として差金決済取引に該当してしまいますので、ご注文の制限を行っています。
また、同一日同一銘柄の株式「買い1,000株→売り1,000株→買い1,000 株」のケースでは、2,000株分の買付代金があれば、ご注文は可能です。しかし、1,000株分の買付代金しかないのであれば、2回目の買付は、買付代金の二重使用として差金決済取引に該当してしまいますので、ご注文の制限を行っています。
なお、A銘柄の「買い→売り」、B銘柄の「買い→売り」、C銘柄の「買い→売り」と銘柄を変えて繰り返し行う日計り売買は、買付代金を二重に使用しませんからご注文は可能です。
同一銘柄の株式「売り1,000株→買い1,000株→売り1,000株」のケース
空売りか否かの明示につき、売付けを行うに際し取引所等に対して行うことが求められます。そのため、証券会社側では、お客様(委託者)のご注文の受託に際し、空売りか否かの確認を行います。
同一銘柄の株式「買い1,000株→売り1,000株→買い1,000株」のケース
- ※上記取引は一例です。上記以外の取引あれば、差金決済取引の対象とならないという主旨ではありません。
- ※信用取引を利用されているお客様で、買付代金に委託保証金を充当する場合、お客様の委託保証金の率及び額が30%及び30万円を下回らない範囲内で充当できます。充当できない場合は、別途、不足分のご入金が必要となります。したがって、日計り売買でなくても、同一銘柄の売買について、買付代金のご入金が不足したまま、売付代金から不足金を相殺してしまう場合は、差金決済取引となりますのでご注意ください。ご入金が無い場合は、信用取引のご利用を停止させていただく場合もありますので、十分にご注意ください。
差金決済取引の禁止とは
差金決済取引は、金融商品取引法上(法第161条の2に規定する取引及びその保証金に関する内閣府令第10条)“信用取引を行うことを明示しない取引”とされ、信用取引によらない現金取引について、お客様の注文に基づき、当初の取引により買付け又は売付けられた有価証券と同銘柄の有価証券の反対売買により、現実の受渡しを省略し、単に相殺することで当初取引の決済を行うことを禁止するものです。また、差金決済取引は、信用取引における保証金の預託制度に対する脱法的行為とされており、受渡しを伴わず、しかも、委託保証金なしに信用取引の効果を得る“不健全な取引”とされています。なお、差金決済類似行為として、①信用取引の現引きと当該現引き株式の現物売り、②現物買いと当該買付け株式での現渡し、③現引きと当該現引き株式による現渡しについても同様の考え方となります。