【信用取引コラム 実践編】
第9回 マネーマネジメント 余裕を持った投資、余裕とは?

2015.03.09

前回、信用取引の余裕を持った典型的な例として、「代用証券以内での信用建て」を申し上げました。それでも予期しないクラッシュが来た時には、手も足も出なくなり、場合によっては追証の危機に晒されます。それを防ぐためにヘッジ売りのコツをご紹介しました。

余裕とかそのためのヘッジとか申し上げるのは、信用取引と言うシステムを長く楽しんで頂きたい為です。現物取引より緊張感を持って運用を学ぶ事が出来るのが信用取引です。空売りも出来る為、市場の下方向の趨勢へもついて行けます。その中でリスクもありますがチャンスも同じようにあります。長く続ける事が即利益につながるわけではありませんが、続ける事が出来なくなったら、利益は絶対に上がりません。続ける為の一つの方法が、常にヘッジ建てをしておく事でした。

しかし、個人投資家の皆さんの中で、ヘッジ建てになじめない方もいらっしゃると思います。上がると思って買っているのに、逆の事をやるのはどうも出来ないと言う方は、長く続ける為の別の方法(考え方)を見つけなければなりなりません。

これをマネーマネジメント(資金管理)と言います。キーワードは「再チャレンジ」です。今回は負けたが、次は勝つと言う再チャレンジ資金を残すことです。これは個人個人で条件が違いますので、一律にロスカットルールを持てとも言えません。

運用資金は現在の額だけで、追証になったら返済するだけと言う方と、他に資産がたくさんある方とでは、おのずとやり方が違ってきます。前者は絶対に大敗は避けなければなりません。しっかりとしたロスカットルールが必要です。前回のマイナーボトムだけでなく、マイナス10%-15%位の早めのロスカットが必要です。このような早めのロスカットの決断は、実際はなかなか難しいので、買う時にロスカット値段を決めておくことをお勧めします。先に決めておけば5%でも10%でもロスカットは出来ます。

後者は、前者のやり方でも良し、逆に追証が出た時に、1回だけ勝負ナンピンの資金をつぎ込むと言う金持ち投資法もあります。余裕を持って行った信用取引に追証が出るという事は、底が近いと言う論理です。

信用取引の余裕とは、仕掛ける時に負けもある事を認めて、その事態が生じたら、素直に従うという事でしょうか。この余裕があれば、立ち直れないような大敗にはなりません。自分の資金がどこまで減るか初めから分かっているわけですから。

買った銘柄が上昇している時はどうでしょうか。利益確定のポイントが、うまい具合に高値揉みあいの中で生まれて、それを基準にたっぷりの益出しで売れれば良いのですが、現実はそうはいきません。ルール通りにやっていると、利益の多くを取り損なって、上値からかなり下がったところで売る羽目になる事が多いです。新値足投資法でも、陽転をうまく捕まえて株価上昇に乗り、かなりの評価益を抱えても、売りシグナルの陰転ポイントが、買い値といくらも違わなかったと言う例が頻発します。天井ではルール通りの売りシグナルは出ませんので、潮時を見極める事が大事です。

過熱シグナルを参考にしても良いと思います。移動平均かい離率、騰落レシオ等です。信用取引の残高も参考にすべきでしょうね。ご存じの逆指数です。買い残が多いと売りシグナル、売り残が多いと買いシグナルであることは、皆さんご存知の通りですが、信用取引の仲間としては、愉快な指標ではありませんね。

出来高も重要です。クライマックスのところでは驚くような出来高になります。これも何百万株ならとか、発行株数の何%とかの数字に縛られる必要はありません。まさに「驚くような数字」です。数字を研究しても「最適化の罠」にハマるだけです。

やはり最後は自分の判断でという事になりますが、良好な判断の為には心の「余裕」が大事です。資金の余裕、システムの余裕、そして心の余裕があれば、信用取引を長く楽しむことが出来るでしょう。この自然体の中から、利益は染み出てくると思います。



平野 憲一(ひらの けんいち)
株一筋40年マーケットアナリスト
テレビ・ラジオ・新聞・雑誌など出演多数
日本証券アナリスト協会検定会員

~略歴~
1970年   立花証券株式会社入社
2006年   同社執行役員就任
2014年7月 個人事務所 K ASSET 代表マーケットアナリスト就任

ブログ『平野憲一の株のお話』


この情報は投資判断の参考としての情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としてはいません。又、その正確性、安全性等について保証するものではありません。


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  • 株式相場、金利水準、為替相場、不動産相場、商品相場等の変動に伴い、株価や基準価額が変動することにより、投資元本を割り込み、損失(元本欠損)が生じる恐れがあります。 また、これらにより生じる恐れがある損失の額は、差し入れた保証金(当初元本)を上回る損失が生じる恐れがあります。
  • 株式は株価変動等により損失が生じる恐れがあります。株式の発行者や組入れ有価証券の発行者の業務や財産の状況、市況の変化に伴い、株価や基準価額が変動することにより、投資元本を割り込み、損失(元本欠損)が生じる恐れがあります。ETNは裏付けとなる資産を保有せず、発行体となる金融機関の信用力を背景として発行される証券であることから、発行体の倒産や財務状況の悪化等の影響により、ETNの価格が下落する又は無価値となる可能性があります。これらにより生じる恐れがある損失の額は、預託した委託保証金の額を上回る恐れがあります。
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