【信用取引コラム 実践編】
第8回 何が起きるか分からないのが相場。ヘッジ投資のコツをつかめ。

2015.02.23

信用取引実践編の重要なルールで、ナンピン買い下がりはしないと申し上げました。

しかし、物事には常に例外があります。

個別株とは全く違う次元の、マーケット全体の波乱(マーケットリスク)に対しては、ナンピン買いをする必要があります。マイナーボトムを切ったからと言って、機械的に全部売りなどと言う乱暴な売買をしていたら、資金はいくらあっても足りません。

もちろん、その買いタイミングについてはケースバイケースです。「落ちるナイフは拾うな」の格言のごとく、様子を見てから買った方が良い場合もあれば、短期的ショック安と考えられれば、即買いの場合もあります。

なぜ買いが必要かと言うと、個別株に関係なく下がる為、今までの判断基準が壊れてしまうからです。判断基準が壊れてしまうという事は、個別株の予想に反した動きとは違います。ここで買って、その時点のマーケット判断基準に出来るだけ近づける必要があるからです。

しかし、この時、どんなに余裕を持ってトレードしていても買いの信用枠が無くなり、買いの手が出ないという事が良く起こります。

「余裕」の典型的な例として言われるのが、「代用証券以内の信用建て」です。100万円の代用証券を持っていたら、計算上は80万円の3.3倍の264万円まで建てられますが、その内の100万円しか信用枠を使わないと言う事です。これはかなりの余裕感です。しかし、マーケットショックで全体が2割下がり、手持ちも同じように下がったとしたら、代用評価は64万円になり、建玉の値洗い20万円を引くと受入保証金が初めの80万円から44万円に一気に下がってしまいます。追証の心配は無いけれど、その時点のマーケットの基準に合わせる「余裕」はありません。つまり、どんなに余裕を持った信用取引をしていても、数か月あるいは数年に1度クラスの大きな変動があった時は、呆然と見ているだけとなります。

この時ヘッジ売り玉があると、投資家に2つのメリットを与えてくれます。1つは、当然ですが、売り建て玉の評価益によって、買い建て玉の評価損が軽減されます。2つ目が重要ですが、この「信用枠」を使って、変化してしまったマーケット基準に近づけるナンピン買いが出来るという事です。

例の友人は、一昨年5月の大波乱を、ヘッジ部分の益出しと、その枠を使った手持ち株の一部ナンピン買いで乗り切りました。当然その後の反発で有利なトレーディングが出来たわけですが、売り建て玉を使ってナンピン買いをした結果、ヘッジ比率は5%まで下がったそうです。申し上げてきたように、完全なる必勝法はありません。もしこの時、さらに底抜けに下がって行ったら、5%まで低下したヘッジ比率では、なすすべがなかったかも知れませんが、とにかくこの暴落を乗り切った事は事実です。

ベテラン投資家から良く聞く話ですが、「投資なんて賽の河原に石をつむようなものだ」と言われます。かなり自虐的な言い回しですが、景気や企業業績の回復と共に営々と築き上げた蓄積(利益)は、何年かに1度来るクラッシュですべて吐き出し、また1から出直し。まるで、積んでは崩れる賽の河原の石積みの様だと言うわけです。確かに、いつもイケイケで突っ走る投資家はその傾向がありますが、少なくともストックハウスの住人の皆様は、そうではないと思います。もし、イケイケの傾向がおありでしたら、ヘッジ投資のこつをつかみ、継続的に投資を楽しむ投資家になって頂きたいと思います。

しかし、高くなって評価益が溜まり、信用枠もたっぷりあって、マイナーボトムを下回る銘柄が無かったら建玉を減らすことは出来ません。逆に、たっぷりの信用枠の誘惑に負けて余分に買ったりしてしまうものです。こういう時、信用枠を使ってヘッジ比率を4割、5割と上げれば、そのたっぷり感が削ぎ落され、枠がある事による買いたい誘惑を抑える事が出来ます。つまり、ヘッジ付きの信用取引投資法は、ヘッジそのものの効果もさることながら、ヘッジに使われる「信用枠」が、何が起きるか分からない相場のリスクからいろいろな意味で投資家を守ってくれるのです。



平野 憲一(ひらの けんいち)
株一筋40年マーケットアナリスト
テレビ・ラジオ・新聞・雑誌など出演多数
日本証券アナリスト協会検定会員

~略歴~
1970年   立花証券株式会社入社
2006年   同社執行役員就任
2014年7月 個人事務所 K ASSET 代表マーケットアナリスト就任

ブログ『平野憲一の株のお話』


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