【信用取引コラム 実践編】
 第2回 買いが善で売りが悪という事は無い

2014.11.25

信用取引の売り残と買い残を比較すると、圧倒的に買い残が多いですね。しかも、売り残には「現物株をホールドしているが、とりあえずのつなぎ売り」も含まれますので、実質比率は更に高まります。この原因は大きくは2つになると思います。

1つは証券会社、特に日本の証券会社の調査部門から出る売りレポートが圧倒的に少ない事です。幹事証券会社の調査部が当該対象企業のネガティブレポートを書きにくいという事もありますが、限られたアナリスト陣容では注目銘柄中心にカバーするのが精いっぱいで、業績不調企業まで手が回らないというのが実情でしょう。

もう1つの理由は、昔仕手筋が幅を利かせていた頃、彼らのやり方が、買い煽って割高感を演出し空売りを誘って、その空売りの買戻し(踏み上げ)にぶつけて売り抜けると言う方法でした。従って昔から「売りは危険」と言われてきました。よく言われた常套句で「100万円買った場合の損失は100万円までだが、100万円売った場合の損失は無限大」と言うのがありました。確かに、増資の連続で売値がマイナスになった銘柄もありました。しかし、その頃でも上場銘柄数に対する出現率はコンマ以下でした。目立った割には出現比率が低かったという事です。

危険が大きいと言われる空売りをする投資家は普通の投資家ではないという風潮もあります。空売りをする人はマーケットにとって危険な人、悪い人というイメージです。そこからいつの間にか買いは善で売りは悪と言う考え方が出来上がりました。

ヘッジファンドが重要なプレーヤーである現在のマーケットは、取引高の3分の1は空売りです。株価の不測の動きには厳しく規制がかかりますので、以前のような異常な高値を付ける事はほとんどありません。それをもって一部の投資家はマーケットが面白くなくなったと言うくらいです。信用取引の効率を上げるためには、空売りともっと親しく付き合うべきだと思います。

信用取引において買いが善で売りが悪だと言う考えは変えるべきです。もちろんしっかりとしたロスカットルールを持つことは大切ですが、これは買いについても同じように重要で、特に売りだからという事ではありません。

有名な相場格言で「天井三日、底百日」と言うのがあります。三日とか百日とかは数字そのままの意味ではなくて、三日とは短い、百日とは長いと言う例えで、底値圏は長いが天井圏は短いと言う意味です。別の言い方をすると、天井を付けに行くのには百日(長期間)かかるが、底値には三日(短期間)で到達すると言う意味にもなります。ならば当然建玉に金利のかかる信用取引においては買いより売りの方が圧倒的に有利だと言う理屈になります。

信用取引と言う武器を手に入れ、その武器を売りと言う有利な世界で使いこなすことが出来たら、あなたの投資家としてのレベルは格段に上がる事でしょう。問題は売り銘柄の見つけ方です。申し上げてきたように長い間日本の株式マーケットは、買い銘柄を探すことが中心でした。アナリスト達は、売り銘柄の探し方に慣れていません。組織的に売り銘柄を研究している調査部も皆無です。ただ、最近はレーティング(格付け)システムが一般化し、ほとんどの証券会社がレポートにレーティングを入れていますので、格下げ銘柄を売り銘柄とする方法もあります。しかし、これもバイ(買い推奨)からニュートラルへの格下げはあっても、セル(売り推奨)への格下げはごく稀です。また、格下げなのに目標株価が時価よりも上と言う例もあります。一般の投資家にとっては判断基準が難しく、せいぜい手持ち株の気休め判断くらいにしか使えません。そこで、空売りを日常的に行っているヘッジファンドのやり方を参考に、一般投資家が出来る方法を次回で探して見ましょう。


平野 憲一(ひらの けんいち)
株一筋40年マーケットアナリスト
テレビ・ラジオ・新聞・雑誌など出演多数
日本証券アナリスト協会検定会員

~略歴~
1970年   立花証券株式会社入社
2006年   同社執行役員就任
2014年7月 個人事務所 K ASSET 代表マーケットアナリスト就任

ブログ『平野憲一の株のお話』


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